『寿 歌』

舞台設定は近未来、
核戦争ですべてが瓦礫となった世界だ。
リヤカーをひいて登場する旅芸人のゲサク(戯作)とキョウコ(虚構)は、
行く先々で芸をみせては食いつなぐ日々を送っている。
その二人の前に謎の男・ヤスオ(神)が現れ、
三人はいつしか荒野を旅することになるのだが・・・。
これが、劇作家・北村想により1979年に書かれた
『寿 歌』の概略だ。
1991年、当時所属していた劇団で
この『寿 歌』を上演した際、
私は“ヤスオ”役で出演した。
まだ経験が浅かったせいか、
登場人物三人だけというこの芝居に
悪戦苦闘して挑んだ覚えがある。
もし今の自分が再び演じたら、
多分当時とはまったく違った作品に仕上がるかもしれない。

この『寿歌』は、その後言われているように
あまりにも現在の世界(日本)を予見しているかのような作品だ。
ふと、当時の舞台を思い出し、
整理用ファイルからフライヤーやら写真などを引っ張り出してみたが、
奇しくも、明日3月11日は
「東日本大震災」からまる二年にあたる。
瓦礫が散乱し、なにもない荒野をイメージした舞台。
複雑な心境にもなるが、
これも思い出多い作品のひとつだ。
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