青山円形劇場

<※写真は、青山円形劇場公式サイトより>
日本初の完全円形オープンスペースという
ユニークな形態をもった「青山円形劇場」。
1985年、渋谷区神宮前の「こどもの城」に誕生した当劇場は、
360度すべての方向から観客の視線を受けるという
役者にとっては、ある意味、
技量をそのまま試される劇場かもしれない。
演劇ファンの方なら、もうご存知だと思いますが、
それが、老朽化等の理由から
来年、2015(平成27)年1月11日で
閉館することに・・・。
足を運んだ回数は数えるほどでしたが
私にとっても、
印象的な舞台でした。
舞台の向こう側に客席があるということは、
お客が、客席を眺めることもできるということ。
そう、そこに客席に囲まれた舞台、
円形劇場の公演の難しさがあるのです。
これは舞台の上に魅力がないと
作品に引き付け続けるのが難しいということ。
結果、ときに私などは
「あそこに可愛い娘がいるなあ」
「あのひと面白いなあ」
「あの人もつまらないと思っているぞ」などと
客席ウオッチングを始める始末。
しかし、ここは空間が広く、
天井も気持ち良いほど高い。
ステージも広く、向こう側の客席まで距離がある。
しかも取り囲む客席は7列ほどの雛壇になっており、
どこの座席からも舞台が近くて、
見えやすい劇場なのです。
MODEのチエーホフ。
舞台上に積み木があり
役者はそれを移動させて場所を構成。
とても面白い芝居でした。
KERA演出 岸田國士オムニバス。
緒川たまき出演・・・
彼女のオーラを真正面で体感し、
何故かこちらが恥ずかしい思いをしたことも
(もちろん褒め言葉~笑)。
また私自身、劇団在籍時に
この舞台に立った事があります。
それは、もう十年ほど前になりますが
作・渚十蘭、演出・久世龍之介の『奥さまお手をどうぞ』。

▲公演当時のフライヤー

▲出演者一覧:三段目の左から二人目が私(若かった!)
まだ、芝居をカッコつけてやっていた頃
(予め決め決めにしていた)。
しかもダンサーの役で、上半身は裸にもなるという。
そして、もちろん、舞台上では踊るシーンも。
敵役(恋敵)も悪かった、と言うのも
妙な言い方ですが、つまり
良すぎて、凄かった・・・
という方が正確でしようか、
本年東京バレエ団を退団された
後藤晴雄さんでした。
当時からプリンシバルとして
活躍されていた方です。
公演後は「ボレロ」の旋律
(メロディパートで主役、ジョルジュドンで有名)を
フランスの振付師
モーリス・べジャール氏に配役されるなど、
海外でも大きな舞台に立っていました。
ギリシャ彫刻を思わせるスタイル、
キュートなキャラクター。
ダンサーとは生きる芸術品だと感心したものです。
やはり若いということは、恐れを知らぬこと・・・
ミュージカルをやってはいたものの
バレエダンサーとは、根本から鍛え方が違います。
配役する方も無責任(言い過ぎかも~苦笑)ですが、
私も一生懸命に取り組みました。
東京とNYを舞台にして、日本人の私と中国人役の彼とで
一人の女性を奪い合うという設定でした。
それに、中国民主化運動という時代背景が絡んでの芝居。
とても良い役でしたが、
演じていた当時は十分に理解できませんでした。
観劇した女性に言われました、
「あなたがどう見ても負けると思った」と。
体を大きくしながら動くという事は
大変なのです、とても。
今更、弁明しても仕方ありませんが、
敬愛する作家さんには
改めて申し訳ないという思いでいっぱいです。
もっと、“こころ”で演じていれば・・・
いろいろな意味で、
私にとっては、
ほかにない高揚を覚えた公演でした。
青山円形劇場の終焉が、
次代における新たな劇場の始まりであることを
一演劇人として、願っています。
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